綿状の羊毛を石鹸とお湯とで押し洗いすると、毛がお互いに絡みあい密着して塊、すなわちフェルトになる。この作用を縮絨という。縮絨が起きるメカニズムは次のとおり。
- ウールのキューティクル(スケール=鱗)がお互いに絡みあって一方方向にしか繊維が移動せず、抜けずにからまる。ボルトを締める工具で一方方向にしか回転しないラチェットレンチのメカニズムと同じ。
- お湯の熱でキューティクルが開き、ウール繊維のクリンプ(縮れ)が伸びて繊維がより絡みやすくなり、かつ石鹸によってウール表面の粘り気が増し膠状になり繊維が密着する。
- 縮絨が終わり熱が取り去られ冷えると、ウール繊維のクリンプが戻りからみ度合いがさらに大きくなる。
服地用に織物やニットの生地の段階で縮絨するケースも多い。毛が絡んで生地密度があがりふかふかした風合いなるレベルに調整が必要。縮絨し過ぎるとフェルト化が進み硬い風合いになり、伸度もなくなってしまう。セーターを製品もしくは半製品で縮絨する事もある。
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